所 信

2025年度

一般社団法人因島青年会議所
理事長 柏原圭佑

【基本方針】

  • 100%会員拡大(+4名)の達成
  • まちの人々と共に取り組みまちに求められる青年会議所へ
  • 因島の魅力を育む循環を創出する
  • 偶然との出会いを積極的に探求する

はじめに

青年会議所は、若者に成長と発展の機会を提供する団体です。もし、まちからそのような団体が無くなるとどうなってしまうのでしょうか。彼らは成長の機会を失い、肩を落として諦めてしまうか、機会を求め他のまちに行ってしまうでしょう。そのようなまちに未来はありません。
少なくとも我々は青年会議所での活動に何か意義や魅力を感じ、得るものがあるからこそここにいるはずです。私も、会社で仕事をしているだけでは得られない体験や、出会い、時には自分の無力さに直面するような修練を経験することができました。それらは自分を構築する重要なピースになっています。
現在、因島青年会議所は会員数の大幅な減少を迎えており、存続の危機に瀕しております。先ほど挙げたような素晴らしい経験をしたからこそ、この環境を整え、次の世代に機会を得られる場を残し続けていかなければならないと強く感じています。ここで再び立ち上がり良い循環に持ち込むため、Reboot(再起動)というスローガンを掲げました。
私たち一人ひとりがこのまちの未来を創る力を持っています。因島青年会議所は、その力を引き出し、繋げ、次世代へとバトンを渡す役割を担っていきます。共に歩む仲間を増やし、共に未来を築くために、本年度も力を尽くしてまいります。我々のまちを“最高”のまちにするために、常に“再考”を続けながら、“再興”の道を切り拓くサイクルを作り出し、明るい豊かな社会を実現していく所存です。

地域に求められる青年会議所を目指して

青年会議所は、自己成長や人脈形成だけでなく、地域の人々と協力しながらまちをより良くする使命感を育む場です。では、どうすればまちが良くなるのか?銀の弾丸は無いかもしれませんが地域課題の抽出と解決やまちの内外の人々が参加して楽しめる事業の実施など地域と対話を続けアクションを起こし続けていく事が第一歩と考えます。そこが噛み合っていれば自ずと青年会議所が住民の方々に認知され、賛同者は増えていき、地域に求められる団体になれるはずです。そうなれば青年会議所には自然と人が集まるようになり、より力強く持続可能なまちを良くする組織へと変化していけるでしょう。
そのためにも、せっかく事業を行うのであれば自分たちだけで企画・運営するのではなく、他団体や行政とも積極的に連携して活動の範囲を広げていきましょう。

魅力あふれる「選ばれる因島」へ

尾道市教育委員会より、今から10年後の令和17年の因島の小学校の新1年生は全体で21名という衝撃的な推計が発表されました。令和6年の84名という数字も全盛期からみれば大幅な減少でありますが、そこからわずか10年で4分の1という数字には大変な危機感を覚えます。日本全体として少子高齢化の傾向に歯止めがかからない状況が続いておりますが、それだけでは説明のつかないこの減少率からは「因島は選ばれていない」という背景が読み取れるのではないかと考えます。
因島を、選ばれて、ずっとここに居ようと思われるような素晴らしいまちにしていかなければなりません。そしてそれを実現するには、まちの人々自身が因島の魅力を発見し、または作り出し、その魅力を大きく育てていく継続的な循環を作り出すことが必要です。そうなった時、自分もここに加わりたいと考える人が現れ始めまちづくりは自走的になっていくのだと思います。
そのような循環を作り出すために、今年度は因島青年会議所がまちの人たちの気づきと運動の起点となるような事業を展開してまいります。

計画的偶発性理論

青年会議所で事業を行う際には、必ず、どのような課題や問題があり、それに対しどのような変化を起こすか目標を設定し、どのような手法で実現するか検討した上で行動に移ります。目標を達成したらこのような成果が出てこのようにまちが良くなりこれだけ自分が成長するという予測を立てることは非常に重要です。我々の運動に於いて、今後もそれが変わることはないでしょう。
そのような厳密な組織運営を学ぶ機会も大切ですが、自分の想定していなかった出来事や出会いもまた青年会議所活動の魅力の1つです。冒頭に掲げました計画的偶発性理論とは、人生の転機の多くは本人も予想すらしなかった偶然から生まれるため、その偶然を待つのではなく、自ら積極的に機会を作り出すといった考え方です。ブロックの事業や他LOMの公開例会に参加したり、普段行かない場所へ行ってみたり、人に勧められた本を読んでみたりする。自分の取り組んでいる事で精一杯で「めんどうだな」と思う事も多いかもしれません。しかし、私はそういった偶然から自分の人生にポジティブな変化をもたらす経験をすることができました。この楽しさを是非体験してもらいたいと考えています。
何が起こるのかは分からない。しかし狙って自分も想像していなかった偶然に出会いに行く。それによって自分の外枠が大きく広がっていく。そういった気持ちや姿勢を個々人が持って運動に取り組んでいくことを期待します。

会員拡大

青年会議所の会員は創業者や中小企業の後継ぎのイメージが強く、実際の構成もその傾向がいまだに強い状況です。しかし、昨今の後継者問題から考えるとそのような候補者はかなり少なくなっていると考えられます。そのため視点を変えて会社勤めの方や、役所などの職員の方といった従来声かけをしていなかった層にアプローチしていくといった方法も積極的に行っていく必要があると感じています。まちを巻き込む活動を行っていけばきっと興味を持ってもらえるはずです。
また、Iターンなどで移住して来た方たちは因島に何かを感じて大きな決断を下してここにいるのでしょうから、彼らに加わってもらうことで地元出身のメンバーにはない新たな視点を得る事ができると考えています。
今まで因島青年会議所が取りこぼしていたまちの貴重な人材に加わってもらうことで人員的にも価値観的にも厚みのある団体となれると確信しております。

文化と記録の継承

在籍期間の長い会員の卒業により物事の進め方や伝統、過去の記録など残すべき情報が徐々に失われつつあります。組織の変化は必要ですが喪失という形での変化は好ましくなく、検討の材料としても軸になる記憶と記録の保存は非常に重要だと考えます。
そこで、デジタルデータとして各種情報を構造的に保存し、参照しやすくすることで作業を簡略化し、後輩たちが文化と記録を継承できるような体制を作ります。

むすびに

因島に若者の成長と発展の機会を残したいと強く想っています。そのためには我々が成長と発展の成果を挙げ、その成果をまちの人に見てもらわなければなりません。時間も予算も人手も限られていますが、それでも今まで大きな課題をクリアしてきた誇れる実績が我々にはあります。
本年度は更なる加速のために積極的に人の手を借り、そしてその手を引き込む勢いで理想の「明るい豊かな社会の実現」を目指して力を合わせて突き進んでいきましょう。